エンタメのススメ

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『君たちはどう生きるか』をどう観るのか

いよいよ、スタジオジブリ最新作『君たちはどう生きるか』が公開されます。

宮崎駿監督作品『風立ちぬ』から約10年ぶりとなる作品ですが、異例の宣伝スタイルが採用され、特報や予告映像、その他宣伝は一切されていません。

通常であれば、事前に発表されるキャスト(声優ではなく俳優が起用される事で有名ですね)、主題歌、ストーリー、スタッフ、全て明かされていません。

この謎に包まれた、『君たちはどう生きるか』をどう観るか、そんな記事を書いてみたいと思います。(感想記事ではありません)

 

通常、映画が公開される時は、洋画、邦画、大作、小規模作品などに関わらず、映画公開前に作品の宣伝が行われます。

劇場で、本編公開前に皆さんが見ている予告編、チラシ、ポスター、から、テレビCM、SNSでの告知、企業とのタイアップ(お菓子とか)、ネットでの紹介記事など、事前に作品に触れる機会は多くありますよね。

今回は、そういった宣伝が一切ありません!

ジブリといえばお馴染みの鈴木敏夫プロデューサーによれば、特報や予告編、テレビCMや新聞広告は公開前には存在せず、宣伝を一切行わない方針。との事。

 

一枚のポスターのみ、公開されていますが、そこには奇妙な鳥(なのか!?)が描かれていますが、その他の詳細は明かされていません。

 

 

映画鑑賞を積極的にするようになり、20年以上経ちますが、こんな事態に遭遇した事はありません。
だいぶ昔の話ですが、映画宣伝を生業にしていた時期もあり、映画宣伝については結構追ってきたつもりですが、まったく記憶にありません、こんな事は。
大作に限っていえば、まったく前代未聞の事態なんじゃないでしょうか。
こんな博打をジブリ作品で行うなんて、、かなりのギャンブラーですよね。

 

鈴木プロデューサーは、『THE FIRST SLAM DUNK』がヒットした際のコメントで、

「何も情報がない方が、皆さん楽しみが増える。先に知っちゃったら喜びを奪うことになる。今回、それを貫きます」
スラムダンクもそうでしょう。(公開前に情報が)何にもなかった。勉強になった。予想を裏切って、数字があがっていく。そういうことができないかな、って」

と発言していました。

確かに、スラムダンクは、どういったストーリーか事前に明かされていなかった。
でも、予告編は映画館で結構な頻度で見かけました。

君たちはどう生きるか』は予告編もなし。

徹底していますね。


君たちはどう生きるか」は、スタジオジブリの単独出資で製作されているようです。

これまでのジブリ作品では、複数の企業が出資する製作員会方式(アニメなどでよく見かけますよね)でしたが、ジブリが責任を担う単独出資だからこそ、ここまで思いきった施策がとれているようです。

 

鈴木プロデューサーはインタビュー記事で、
「自社で製作費をまかなうということはですね……赤字になったっていいわけですよ(笑)」
「今回は本当の博打です」
と語っています。

 

本当に博打なのか。(笑)で済まされるのか。
博打の規模のデカさに震える、、

 

でも、宣伝をしない事を宣伝しているとも言えまして、
しかも、ジブリパークやら、現在開催中の金曜ロードショージブリ展などの記事で、新作についてきっちりとコメントしつつ、それがニュース記事になっている。
もちろん、金曜ロードショージブリ祭りをやっていますので、
このあたりは策略家ですよね。
(新作の内容については)宣伝をしない。という宣伝。


ちなみに、タイトルは2017年刊行の漫画版がベストセラーになった吉野源三郎氏の小説「君たちはどう生きるか」(1937年発表)から採られていますが、物語は宮崎監督による完全オリジナル。

タイトル抜粋作品の漫画作品。

 

作品の中身は小説とはまったく無関係で、スタジオジブリの公式サイトでは「冒険活劇ファンタジー」と紹介されています。

 

冒険活劇ファンタジー!?

というと、真っ先に浮かぶのは「天空の城ラピュタ」。

あの頃のような胸躍る作品の要素があるのか。
それとも新概念の「冒険活劇ファンタジー」となるのか、、
まったく予想できませんね。


鈴木プロデューサーは、
「情報過多な時代にまっさらな気持ちで映画を届ける」
「知らないという気持ちが喜びになる」
というコメントもしていました。(いつだったか不明)


確かに、どんなストーリーになるのか、どんな映像が観れるのか、
映画本編が始まる前の瞬間はドキドキしますよね。
(その後にその高まりを超えられずガッカリする事もありますが)

その最高到達点に今、いると言っても過言ではありません。


今後、ハリウッド大作、例えば、スターウォーズやマーベル、DC作品、
新海誠作品が事前情報一切なく鑑賞できる機会はないと思います。

となると、
宮崎駿監督の最後の劇場作品かもしれない本作品は、とてつもない稀有な状態で鑑賞できる、ほぼ唯一の映画と言っても過言ではないかもしれません。

こんな機会はきっと滅多にないでしょう。
この体験を楽しまないのは勿体ないですね。

 

そして、この作品がどれくらいヒットするのか。

 

前作の『風立ちぬ』(約120億)
宣伝方品に大きく影響を与えた『THE FIRST SLAM DUNK』(約147億)
ジブリ作品興行収入トップの『千と千尋の神隠し』(約316億)

 

これらの作品に迫れるのか。
また、『君たちはどう生きるか』の今後の状況によって、
今までの映画宣伝のスタンダードとされたものが破壊され、新しい宣伝手法というものが生まれるのか。

 

色々と見所がありますね。
皆さんもぜひ一緒に劇場で楽しみましょう。

(私は初日のレイトショーを観に行く予定です)