ゆるいゾンビコメディだけど、メッセージは強め「デッド・ドント・ダイ」(映画のススメvol.15)
今日は、映画のススメです。
これからご紹介する映画は、カンヌ映画祭のオープニング作品となったのですが、監督が持っているイメージと本作品内容から異例のサプライズとなり、観客騒然に。
その監督とは、ジム・ジャームッシュ。
アメリカインディペンデント映画の代名詞的な存在ですね。
ミニシアター全盛の時代には、この監督の作品を知っていると、映画通を名乗れるような、そんな存在でした。チラシやポスターがカッコイイんですよね。
『デッド・ドント・ダイ』
世の中には数多くのゾンビ映画がありますが、ジャームッシュ流のゾンビ映画とは、
どんな映画なのか。鑑賞前は、その点が非常に気になっていました。
それでは、感想を書いていきたいと思います。
予告編
6/5(金)全国公開『デッド・ドント・ダイ』/日本版60秒予告編
感想
ゾンビ映画への愛と、皮肉やブラックユーモア満載のオフビートコメディ。
名作オマージュや、小ネタが満載で、メタ的なネタや第4の壁を越えてきたりと、盛りだくさんの内容でした。
その中で自由に(いや台本通りというべきかw)楽しそうに演じる俳優達が魅力的。
そういった劇中のゆるいコメディタッチの内容から一転して、強いメッセージで締め括るラスト。
とはいえ、いきなり現代への批判とも取れるメッセージが唐突に差し込まれるわけではなく、劇中でも分かりやすくテーマに言及していたりする親切設計ではありました。
その不思議なバランス(コメディとシリアス)で成り立っている作品ともいえます。
監督の伝えたかったメッセージを受け止めつつ、ゆるいコメディや、小ネタ探し、俳優達の魅力的な演技を楽しむ。
そういったバランスで楽しめれば面白いと思います。
GOOD ポイント
メインの登場人物となる、ビル・マーレイ、アダム・ドライバー2人のコンビ。バディムービーの変化系と言えるのかどうか。噛み合ってないんですよね、この2人w
2人共、無表情と独特の間で笑わせてくれるのですが、言ってみればボケとボケ。ツッコミ不在の漫才みたいな独特のバディ感。個人的にはそれがツボでした。
- 過去の名作のパロディ、オマージュ、登場人物達の過去出演映画の小ネタなど
個人的には、アダム・ドライバー関連のスターウォーズネタが笑えました。
その他にも映画内に多数あって、知っていればいるほど面白いと思いますが、もちろん知らなくても楽しめます。
第4の壁を越えてくる(観客に向けての)セリフにはビックリしましたね。
かなり面白かったけれど、それをここで言うの!?というタイミングでブッ込まれます。ネタバレはしませんが、映画のテーマソングや、セリフについてです。
気になる方は、ぜひ劇場で確かめてみて下さい。
BAD ポイント
- 一般的にイメージするゾンビ映画、コメディ映画を期待するとガッカリするかも
いわゆるゾンビ映画的な恐怖や、ビックリ要素はありません。
先行き不透明感はありますがw
あとは、結末について観客に向けて丁寧に伏線を張ってくれてます(あれを伏線というかどうかは難しいですが)
そして、コメディ作品である事には間違いないけれど、監督からの強いメッセージ(現代への批判、批評)が直接的に込められていて、ラストにも反映されてるので、完全なコメディとしては笑い飛ばせないんですよね、、
果たして自分自身はどうなのか。疑問をつきつけられます。
- ジム・ジャームッシュ監督作品が初めての人にはあまりオススメできないかも
ジム・ジャームッシュの作品に親しみがないとノレないかもしれません、
笑いの間や、ギャグを入れてくるタイミングとか。日本的な笑いではないので、他の監督作品で慣れておくと、より良い映画体験になるのではないかと思います。
関連作品のオススメ
『パターソン』
ジム・ジャームッシュ監督作品。アダム・ドライバーも出演しています。
日常描写を丁寧に描き、日々の気づきを促してくれる良作です。
この作品をなぜ関連作にしたのか、疑問に思う方もいるかもしれません。
本作の主人公が3つの看板広告を出しますが、その際に依頼する広告会社の経営者、チャラい雰囲気なんだけど、気弱な彼。覚えているでしょうか?
終盤の印象的なシーン、オレンジジュースの彼といえば思い出す人もいるかも。(あれは号泣シーンですね)
この人。
ケイレブ・ランドリー・ジョーンズという俳優なんですが、その彼が「デッド・ドント・ダイ」に、ゾンビ知識豊富なGS店主として出演しています。良いキャラクターでした。
最初は全然分からなかったのですが、名前検索をして思い出し、オレンジジュースの彼だ!と分かり、猛烈に愛しくなりました。
『スリー・ビルボード』傑作だと思いますので、未見の方はぜひオススメします。
まとめ
最後まで読んでいただきありがとうございます。
『デッド・ドント・ダイ』いかがだったでしょうか?
スローテンポな映画が好きな方、ゆるいコメディ好きの方にはぜひオススメします。
鑑賞後に、あれこれ感想を言い合いたい映画ですよね、良かったらコメントもお待ちしています。
今回はこのあたりで。